クロマトグラフィー入門
定量計算法について(1)分析化学は、試料中の成分の種類や存在量を解析したり、解析のための分離方法を研究する化学の分野です。大きくわけて、定性分析(成分の判定)、定量分析(成分量の決定)の2つに分けられます。成分を判定することを、同定と呼び、成分量を決定することを定量といいます。クロマトグラフィーでは、分離した各成分の同定・定量の両方をおこなうことが可能です。
ここでは、定量計算法について勉強してみました。
定量計算は試料を構成している各成分が、どの程度の量または割合(濃度)で含まれているのかを知るために行います。クロマトの測定器では、カラムによって分離溶出された成分は検出器を通過することにより電気信号に変換され、ピークとなって表れます。一般的には、このクロマトグラムの各ピークの面積値の大小は、物質量の多少に比例します。
面積百分率法
クロマトグラム中の検出されたピークの総面積を100%とし、単純に各ピークの比率をもとめて定量する方法を面積百分率法(Area normalization method)と言います。
各ピークの比率 = ピーク面積/ピークの総面積 * 100 |
この方法は、すべての成分がクロマトグラム上で分離することが明らかな化合物に用いられます。 また特に検量線での正確な定量を目的としない場合に用います。面積百分率法は、実践的には定量することには向かない計算方法です。 どうしてでしょうか?
クロマト検出器の感度は物質ごとに異なっています。たくさんの種類の検出器がありますが、その機器の性質上検出されやすい物質とされにくい物質があり、実際ピーク面積の大小関係だけでは、正しい量的関係が求められないのです。 そのため成分個々の感度を補正する必要がでてきます。
図は検出器の応答特性を表わしています。各物質の検出器の感度は、勾配の違いで示されます。勾配が大きいものは感度が、低く、小さいものは感度が高いといえます。同じ濃度の2成分 P1とP2 を分析すると、P1の面積A1よりP2の面積A2が大きいことがわかります。
この関係を利用し、含有量不明の未知資料を測定し得られた面積値にこの勾配をかけると、含有量(濃度)が判明します。
含有量=検量線の勾配*ピーク面積値 |
定量のための関係線、つまり指標となるデータから、 目指すデータを導き出すための関数、それが
検量線(calibrationcurve)です。クロマトの検出器のほとんどが、このような直線(曲線の場合もある)の応答特性を示すので、検量線を使っての定量が可能です。したがって、検量線の精度・正確さにより、以降のこの測定の正確さ、信憑性も決まってきます。
では検量線ってどのように作成するんでしょうか?
検量線の作成方法(絶対検量線法)
各物質量に対応する各ピークの面積の関係をあらかじめ既知試料(標準試料、スタンダード)を測定します。 その関係を縦軸物質量もしくは濃度、横軸面積のグラフへプロットし、出てきた点を線で結び検量線を作成します。 (スタンダードは測定環境によっては、数種類測定することもあり、その場合は原点を通らない検量線となることもあります。)
例えば、あらかじめ濃度(y)の分かっている成分を測定し、出てくるピークの面積値(x)との関係が、単純にy=2xだとします。 このy=2xが、この測定での検量線ということになります。
このように、検量線を用いてそのものの絶対量を求める方法を 絶対検量線法(absolute calibration method)または外部標準法(External Standard Method)といいます。
含有量=検量線の勾配*ピーク面積値
検量線勾配は スタンダードの含有量/スタンダード面積値 なので すなわち 含有量=(ピーク面積値/スタンダード面積値)*スタンダードの含有量 |
絶対検量線法は大変便利な計算法ですが、含有率を求める場合には注意が必要です。 カラムへの試料注入量にバラツキがある場合は計算結果に正確さが期待できません。
含有率=検量線の勾配*ピーク面積値/注入試料量 *100 |
上記の式から注入試料量のばらつきによって大きな誤差がを生じることがわかります。 そのため高い精度でのサンプルの注入が絶対条件となります。手動の注入などではごく微量の試料を精度よく注入することは非常に困難な場合もあります。しかし現在は、サンプル注入に専用の機械が使われることも多くなり、正確な測定が簡単にできるようになりました。最もポピュラーな定量法ともいえるでしょう。
修正面積百分率法(補正面積百分率法)
補正を行わず、単純に百分率で計算する方法と単純面積百分率法といい、感度補正された面積値で含有量を百分率計算する方法を 修正百分率法といいます。
修正百分率法では、まず検量線を使い含有量を求めます。そして得られた含有量の合計値を改めて試料量とし、その値に対する比率を百分率で求めます。
含有量=(検量線の勾配*ピーク面積値)/ 煤i検量線の勾配*ピーク面積値) *100 |
修正百分率法は、絶対検量線法の注入量のばらつきを補正し、より正確な含有量をもとめることができます。注入量のばらつきは全成分に影響を与えると考えられるため、分子分母でそのばらつきは相殺されることになります。
その他の定量法としては、内部標準法、標準添加法などがあります。また次回説明したいと思います。
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